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ベトナム市場調査|若年層が牽引する成長市場

東南アジア
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近年、「ポストチャイナ」として世界中から注目されるベトナム。平均年齢約30歳の若年層が経済成長を力強く牽引し、市場を急速に拡大させています。本記事では、ベトナム市場の基本情報から消費者行動、地域別のニーズを深掘りするとともに、具体的な市場調査の方法とベトナム独自の商習慣、そしてその注意点を詳しく解説します。

ベトナム市場の基本情報

ベトナムの人口は約1億人、その平均年齢は約30歳と非常に若いことが特徴です。この若く豊富な労働力と活発な消費意欲が、経済成長を力強く牽引しています。経済面では、過去数十年にわたり高いGDP成長率を維持して今に至ります。経済成長に伴う一人当たりのGDPの増加、中間層の拡大は、消費市場として魅力が増しています。

かつて主要産業は、農業や観光業がメインでしたが、近年は製造業やIT・デジタル分野の成長が著しく、産業構造の多様化が進んでいます。ベトナム市場のより詳細な情報は、以下の記事をご覧ください。

ベトナムの消費者行動の特徴

消費者行動と文化的背景

ベトナムの消費者行動は、文化的背景と深く結びついています。儒教文化の影響から、家族や体面を重視する傾向があり、プレゼントや贈答品という購買行動も重要な要因のひとつです。高級品やブランド品は「成功の象徴」とされ、見栄のための消費も一定の市場を形成しています。中間層の拡大により、価格や実用性に加え、ブランドの価値や購入体験を重視する層も増えています。

一方で、価格に対する意識も高く、複数のチャネルで比較検討する傾向があります。これは、SNSの普及や、依然として可処分所得に限りがある層が多いことがその理由とされています。

近年ではSNSの影響力が強く、新しい製品やブランドへの関心が特に若年層の間で高まっています。FacebookやTikTok、ベトナム独自のSNSであるZaloなどが購買行動に大きな影響を与え、情報収集から購入決定までを短期間で行う傾向が顕著に見られるようなります。

地域別のニーズ

ベトナムは南北に細長く、地域ごとに消費者行動やニーズに違いがあります。特に、政治や文化の中心である北部ハノイと経済や近代化の中心である南部ホーチミンではその傾向が明確になっています。

ハノイでは、堅実で保守的な消費志向を持ち、品質と信頼性を重視します。ブランドの歴史、企業の姿勢など、無形の価値にも敏感です。支出に対しては慎重ですが、所得増加により、市場としての魅力は高まっています。

一方、ホーチミンは、人々がよりおおらかで楽観的とされ、新しい商品やサービスへの関心が高く、購買意欲も旺盛です。また、SNSの影響を受けやすく、新しさやトレンド、利便性が消費において重要視される傾向があります 。さらに多様なECサイトやデジタル決済の活用も進んでいます。(参考:VietBiz

市場調査の主な方法

ベトナムの市場調査方法としては、主に4つあげられます。

デスクリサーチ既存の統計データ、レポート、Webサイトなどを活用して市場の全対象を把握する。
ベトナムでは統計や企業の情報が十分でないこともあるため、仮説構築のために使うことを推奨。
アンケート調査できるだけ多くの消費者を対象に調査し、数値データをとることで傾向を把握する。
ベトナムでは、スマートフォン所有率が高いため、オンラインでの調査が有効な手段。
インタビュー調査グループインタビュー、個人インタビューを通し、ライフスタイルや価値観を深く理解する。
特にハノイでは、文化的背景により他人の前だと意見を控えてしまう傾向があるため、グループインタビューでの深掘りは適さないこともある。
実地調査同じ環境に身を置くことで地域ごとの特性の調査を深めることができる。
統計やデータの整備が不十分な場合や、農村などインターネットが整備され地いない地域の調査には特に有効。

調査を成功させるためには、対象地域の文化を深く理解し、その土地に合った調査方法を選ぶことが不可欠です。さらに、デジタル技術を効果的に活用しつつも、地域ごとの特性や所得層の違いに配慮した設計が求められます。

ベトナムの商習慣と注意点

ビジネス文化と意思決定プロセス

ベトナムのビジネス文化には、年功序列と上下関係を重んじる儒教的価値観が根付いており、ビジネスにおける組織内での意思決定にも影響を与えています。多くの場合、決定権は上層部や年長者にあり、トップダウンで判断が下される傾向があるため、現場での柔軟な判断や迅速な意思決定はなかなか見られません。また、部下が上司に意見することも少ないため、提案が出されにくいという状況があります。(参考:Dejima)さらに、面子を重視するため、明確に「ノー」を示さないというしきたりがあり、曖昧な返答や沈黙が必ずしも同意とは限りません。そのため、言葉の真意を汲み取り、指示は具体的かつ明確に伝えることが重要です。こうした文化や意思決定の特性を理解し、忍耐強く丁寧な情報共有を行うことが、現地での円滑なビジネス推進につながります。(参考:フロンティアコンサルティング

信頼関係の構築が成功の鍵

ベトナムのビジネスでは、書面よりも人との繋がりや信頼が重視されます。そのため、ビジネスの話だけでなく、雑談を交えた交流や、食事・定期訪問などを通じた関係構築が欠かせません。メールや電話のみでの商談は好ましくはないため、紹介者を通しての訪問や対面でのやり取りが重視されます。また、展示会や現地訪問など、リアルな接点を持つことも信頼を深めるための有効な手段となります。(参考:Dejima

このように人間関係が優先される一方で、取引の安全性を保つためには契約書や議事録の整備も並行して行うことが必要です。短期的成果より、中長期的な関係構築を見据えたアプローチが成功の鍵と言えます。

まとめ

経済成長著しいベトナム市場は、若年層が牽引する魅力的な市場です。しかし、消費者行動は文化や地域で大きく異なり、インターネットやSNSの影響も顕著です。また、ベトナムでのビジネス成功には、儒教文化に基づく意思決定プロセスやコミュニケーションを理解し、信頼関係構築も不可欠です。

このような複雑な市場特性を把握し、進出を成功させるためには、これらの文化的・地域的な差異や商習慣を深く理解し、戦略に落とし込むための市場調査が必須です。しかしながら、自社のみで必要な情報を収集するには限界があるため、現地に精通したパートナーに依頼することが近道です。ティーエスアイは、ローカルネットワークを活用した現地のリアルな情報収集力と、業界の専門知識が求められる調査を強みとしています。海外市場調査をご検討されている方は、お気軽にご相談ください。

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