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インドネシア市場を解明!成長の秘密とビジネスチャンス

東南アジア
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広大な国土と豊かな天然資源が魅力のインドネシアは、今新たな時代を迎えています。豊富な労働力と堅調な内需拡大で経済発展を続けている同国は、世界中から注目を集める反面、インフラ整備の課題や首都移転計画など、知っておくべき国内事情も少なくありません。今回は、インドネシアのその成長の秘密とビジネスチャンス、そして進出するうえでの注意点などをご紹介します。

インドネシア市場の魅力

人口とGDP

2023年の国連統計データによると、インドネシアの人口は世界第4位の2億7,753万4,122人(前年比+0.7%)と、ASEANの中で最も増えています。特に若年層が拡大しているため、今後しばらくは労働人口の増大が見込まれます。

また、この数年間で貧困層が減少し、中間層が大幅に増加していることから、国内総生産のなかでも大きな割合を占める個人消費が活発になりました。その結果、中間層の消費拡大が市場および経済成長を後押しするかたちになっています。若年人口の比率も高く、今後ますます成長が見込めると多くの企業が注目しています。

インドネシア中央統計庁(BPS)によると、2023年の実質GDP成長率は前年比5.05%とされています。前年の5.31%増からは鈍化したものの、2年連続で5%超えを達成。2023年時点のIMFの推計によれば、同年のGDPは1,417米ドルと、世界でも有数の高水準を維持しています。

地政学的にも中国や日本などアジアの経済大国と中東やアフリカとを結ぶ海上交通路であり、ASEANにおいても経済や文化、安全保障の面で重要な立ち位置にあります。

豊富な天然資源

総面積約192万平方キロと、日本の約5.5倍以上の広大な国土を持つインドネシアは天然資源に非常に恵まれ、石油・天然ガス・石炭といった化石燃料資源や、銅、スズやニッケルなどの鉱物資源が埋蔵されています。また、熱帯雨林気候を生かしたパーム油や天然ゴムといった天然資源、農産物、海に囲まれた環境がもたらす水産物が豊富にあり、インドネシアの経済や貿易を支えてきました。

現在は輸出規制が敷かれている品目も多くありますが、こうした一次産品を活用した外国企業による事業展開も拡大しており、今後は国内での関連製品の生産や加工貿易を推進し、世界の中で競争力を高めていくことを目指しています。東南アジア諸国の経済発展に伴い、ますますエネルギー需要が高まることが予想され、その生産拠点として存在感が増すと期待が寄せられています。

堅調な内需主導経済

インドネシア経済の特徴は内需中心という点にあります。他のASEAN諸国と比べて輸出依存度が低いため、リーマンショックやコロナ禍でも大きな打撃を受けずに経済成長を持続することができました。

また中間層の拡大に伴う旺盛な個人消費が経済成長をけん引しており、この20年間で一人当たりGDPが約6倍にまで上昇しました。世界第4位という規模の人口のうち、20%が中間層ともいわれ、大きな消費市場を誇っています。

現在、鉱山資源の禁輸措置が広がり、国内での加工品生産や最新EV製品等の製造に外資企業が乗り出すなど、インドネシア国内の安定した内需を基盤とする同国経済はますます発展が期待されます。

さらに、平均年齢の低さが特徴のインドネシア市場は、現在も総人口の約半分を労働人口が占めており、今後30年間は生産年齢人口が増加するものと予想されています。安定した消費市場が見込まれることから、開拓の余地が大きくある市場として海外から進出する企業も増えています。

世界有数の親日国家

歴史や経済的支援といった背景もあり、インドネシアは世界でも有数の親日国家だと言われています。特に国内の鉄道インフラ関連は日本が強力に支援しており、土木工事や信号システムをはじめとして、多くの日本企業が参画しています。日本語を学ぶ人々、訪日観光客や留学生の数も多く、日本企業や製品への信頼も比較的厚いため、日本企業にとって進出しやすい状況も魅力です。

ただし、イスラム教の影響など、慣習やビジネス文化も日本とは異なるため、思わぬことで大きなトラブルを招く懼れがあります。そのため、進出を検討する際には事前にしっかりリサーチしておくことが重要です。特に食品メーカーなどは、ハラル認証など厳格なルールが敷かれることもあるため、注意を要します。

インドネシア市場の変化

産業の高度化

かつてインドネシアの経済は農林水産業が中心で、1960年代は第一次産業がGDPの50%以上を占めていました。しかし、製造業やサービス業の比率が徐々に増加し、特に2000年以降は鉱業、採石業のシェアが低下。2013年にはサービス業が製造業を上回り、2021年には第三次産業がGDPの46.2%を占めるまでに成長を遂げました。

第三次産業では「情報通信業」や「金融業」が拡大し、第二次産業では内需とかかわりの深い「食品」「飲料」「建設業」のシェアが増加しています。こうした産業の高度化によって所得水準が上昇し、貧困層の減少と中間層の増加によって消費市場や内需の拡大を招いているのです。

2024年2月に行われた大統領選挙では、現政権の路線継続を表明しているプラボウォ氏が当選し、経済政策でも前政権がすすめてきたインフラ開発や産業高度化を引き続き推進していくといわれています。

都市部の人口増加

産業の高度化に伴い、地方や農村から人々が都市部に流入したため、首都ジャカルタの人口は約1,000万人にのぼっています。首都圏全体では約3,400万人がそこで暮らしていることになります。東京に次いで世界第2位の巨大人口を抱えるジャカルタではインフラが追い付かず、停電や慢性的な洪水、地盤沈下や激しい交通渋滞が社会問題になっています。とりわけ、不安定な電力供給が招く停電はインドネシアに工場や事業所を持つ企業にとっては死活問題となりかねません。

さらに、首都に人口とGNPの6割が集中していることから都市部と農村部の格差が広がり、都市部内においても貧富の差が生じ、過密下した貧困層が暮らすスラムも多く存在しています。

2024年にはインフラ関連投資に日本円で約4兆円が計上され、道路や電力などの開発をすすめるとともに、地域間格差の縮小を目指していくものと思われます。

禁輸措置と外資誘致

インドネシアは天然資源が豊富なため、輸出における一次産品の比率が高いことで知られていました。しかし、国際的な資源需要に国の経済が左右されがちになるというデメリットがあり、インドネシアでは産業の高度化に伴い、鉱山資源の禁輸措置をとるなど、輸出構造の転換をはかっています。

2020年1月にはニッケル鉱石の輸出を禁止し、国内での精製・精錬の義務付けを行った結果、代替国が見つからなかった企業がインドネシア国内に工場を設置するケースが増加しました。また、ニッケル鉱石からEV用のバッテリー製造~リサイクルまでの一貫したエコシステムの構築を目指していることから、外資誘致も積極的にすすめています。

ニッケル鉱石の禁輸によって海外企業からの投資と国内産業発展を成功させてきた同国では、2023年6月からはボーキサイト鉱石の輸出も禁止しました。今後もこうした措置を拡大していく意向を示しているため、注視する必要があります。

今後の経済動向

首都移転

現在、インドネシアの首都はジャカルタですが、前述のとおり多くの問題を抱えています。その主たる原因が、人口集中ですが、過去に何度も首都移転案が打ち出されましたが、2019年にようやく本格的な首都移転計画が発表されました。

あらたな首都となる「ヌサンタラ」が置かれる予定のカリマンタン島は国土面積の70%を占める広大な島ですが、そこで暮らしているのは全人口のわずか7%に過ぎず、計画発表当初には「なぜジャングルに遷都?」と世界中に衝撃が走りました。

新首都では計画的に道路や下水を整備し、交通渋滞や地盤沈下、洪水といった現在ジャカルタで起きている問題を解消することを目指しています。さらには国連開発計画とのあいだで「サスティナブルシティ」建設に向けた協力関係を構築するなど、安全で持続可能な開発に期待が寄せられています。

その一方で、膨大な建設費が税金から賄われることから、長期間にわたり国民へ大きな負担がかかることになり、実現を疑問視する声も少なくありません。

LCEV市場の拡大

インドネシア政府は今、低炭素排出車(LCEV)の開発と普及に力を入れています。なかでも、バッテリー式電気自動車(BEV)についてはASEANだけでなく、世界的な生産の中心地になることを目標に、外資誘致や法規制改革を積極的に押しすすめています。

2023年1~10月のLCEV(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・BEVの合計)の卸売り台数は5万2,939台と、すでに2022年1年間の3.4倍の販売数を記録しています。政府は中国企業をはじめとする外資企業による投資を歓迎する姿勢を示しており、ゆくゆくはインドネシアを東南アジアの「EVハブ」にする意向です。

そもそもインドネシアではバッテリーに使われるニッケルの産出量が多く、現在はニッケル鉱石の輸出を禁止しています。採掘、精錬から電池生産に至るまで一括で担う海外企業、特に中国企業が増え、現在LCEV市場は右肩上がりに成長しています。それでも、自動車産業全体のシェアはまだ1割程度であり、今後どこまで拡大するかが注目されています。

まとめ

ご紹介してきたように、インドネシアは今、人口から産業に至るまで、高成長期を迎えています。海外企業からも大いに注目を集めており、国際市場での存在感は今後ますます高まることでしょう。

現代の日本では人口減少や少子高齢化によって市場が縮小傾向にあり、また既存の市場はすでに飽和状態であることから、進出が憚られることも少なくありません。インドネシアに商機を見出し、現地でのビジネスを検討するのであれば、リアルタイムの詳細な情報がキーとなります。自社だけでの情報収集では不安がある場合は、専門家や現地に詳しいコンサルタントに依頼することも有効な方法のひとつです。

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