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買収案件後日談:買収後のPMI成功ケースから学ぶM&Aの原則

事例
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以前弊社が売手FAとしてお手伝いした案件に関する後日談です。

その案件交渉に際しては、相手方ということで厳しく交渉しましたが、その交渉過程で一定の評価と信頼を得たのか、継続的に買収案件を探しているX社は、技術を知っているFAと認めていただいたことも相俟って、取引終了後も弊社と非常に親しくしていただいています。(これはよくあることで、M&Aアドバイザリー業者としては嬉しい限りです。)

PMIが成功するケース

先般もX社に対して、ある案件の情報提供を行った後、当該案件のその後の状況を聞きましたところ、PMIにあまりエネルギーを必要とすることなく、非常に上手くいっているというお話をいただきました。

買収後のPMIにあまりエネルギーを必要としないケースはいろいろあると思いますが、その理由は以下のようなものが挙げられると思われます。

  1. 案件の規模がそれほど大きくない。
  2. 買手として、その経営者が、買収した会社に自ら入り込み連携している。
  3. 買手が企業のことをよく知ろうとし、また実際に知っている。そのために敬意を持って対応している。こうであると、結果として対象会社の役職員にやる気を出させ、コミュニケーションが活性化しますね。

PMIが困難なケース

PMIがなかなか上手くいかない場合、弊社自身の経験や、他社の事例を含めて考えてみますと、以下のような問題点があるように思われます。

  1. 買手が対象企業と協業できるツールをあまり持っていない。
  2. 買手の経営者が、対象会社及びその役職員とコミュニケーションを取れない。こういう経営者は「遠い」「本業多忙」などの理由をつけていますが、詰まるところ対象会社の技術をはじめとする中身に対する知識がないことが多いです。
  3. 買手の役職員に目的意識がなく、自ら関与する気がない「やらされ仕事」になっている。
  4. 買手の役職員は対象会社に入り込んでいるものの、本質的なところで親子会社としての距離が埋まっていない。(「管理」はするが「応援」はしない状況)

いわゆる“M&Aあるある”という訳です。これはM&Aに限らず“新規事業あるある”でもあります。「買手が対象会社と協業できるツールを一切持っていない」「買手の役職員が関与する気がない=自社に担当できる人材がいない」場合には、たとえある程度コストをかけて交渉プロセスを深化させていたとしても、最終的に買収を回避します。

そもそもの話、なぜ新規事業をするのか、と言うことですね。そもそも経営者は既存の事業や社内の人員では新しい展開を考えブレークスルーしていくことができないから買収しようとしているわけです。それなのにこのような姿勢は矛盾しているわけです。

詰まるところ重要なことは、買収先企業に期待できる人材がいるのかいないかを徹底的に見極めることですね。人財、やはりこれがポイントで、これさえあればなんとかなります。

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