対象企業 | |
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事業内容 | 機械装置の製造販売事業 |
所在地 | 日本 |
売上高 | 数千万円 |
従業員 | 数名 |
譲渡理由 | 事業方針変更に伴う、シナジー効果のある企業への譲渡 |
- 対象事業を有する売主は、事業拡大のため、本事業を買収し、開発途上にあった装置を開発。しかし、自社の営業や製造とのシナジー効果を期待できず、売却するに至った。
譲受企業 | |
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事業内容 | エレクトロニクス関連装置の製造販売 |
所在地 | 日本 |
売上高 | 約100億円(親会社含む) |
従業員 | 約200名 |
譲渡理由 | 自社装置のラインナップ増強、開発人材確保 |
- 親会社は近年上場した新興の装置メーカー。自社開発の他、老舗エレクトロニクス関連企業の装置事業の買収に積極的であり、今回の買収もその一環。
本件の経緯
- 2017年12月売り主が当社に本事業譲渡を相談
- 売主から事業譲渡先探索の相談を受け、当社が売手FAに就任。専任専属で譲渡先発掘活動を行うが、売主が自社による本事業の拡大可能性を模索していたこともあり、具体的な交渉に進むことなく推移。
- 1年経過後、売主が譲渡の方向性を明確にする中、専任専属を解かれ、大手M&A仲介会社と並行しての探索となる。
- 2018年には、当社が探索した上場機械装置製造会社(当社探索)が関心を示し、検討を深化するもののLOI提出に至らず。参入した大手M&A仲介会社も、LOI提出に至る候補探索は結果的にできなかった。
- 2020年4月譲受企業が手を挙げる
2019年12月よりアプローチをしていた今回の譲受企業がLOIを提出
- 2020年4月DD(デューデリジェンス)の実施
新型コロナウィルスの影響で対面でのDDができず、オンラインでのヒアリングを断続的に実施
- 2020年6月最終買収条件の提示
DDによる検出事項を踏まえ、最終条件及び譲渡契約に関する前提条件等の提示
- 2020年7月譲渡契約の締結
上述の前提条件や最終条件を踏まえ、譲渡契約を締結
- 2020年7月最終調整
- 譲渡契約における停止条項をクリアするため関係者への説明
- 官報公告、従業員への告知及び同意など法的要件の充足
- 2020年9月クロージング
譲渡契約の停止条項完了の確認を行い、譲渡完了
成約のポイント
成約に苦労した背景とその解決要因
対象事業は、マーケットでは一定の技術力とシェアを有しており、今回の売手企業は一旦買収を決断しましたが、マーケットがあまり大きくないこと、製品の単価が高額であることから、将来的な事業計画が組み立てにくい事業となっており、譲受検討にあたっての大きなネックとなって候補先探索を困難にしていました。
そういった中で、成約の最大の要因は、譲受企業トップが冒頭から参加し、親会社へ適切な報告を行っていたことが挙げられます。この前に関心を示した機械装置製造業においては、担当部署責任者が強い推進意向を持ち、担当役員までボトムアップして動きましたが、最終的にトップを説得、企業として決断するには至りませんでした。
一方、売手企業は対象事業の売却額について、当初より「買収額+買収後にかかったコスト」の回収ということに強い拘りがありましたが、年月の経過、環境の変化を踏まえ、100%株式を保有するオーナー社長が、FAとして最大限の努力をする中で受け入れざるを得なかった価格ダウンを受け入れ、時間をかけずに決裁したことで成約に至ることができました。
M&Aは多分にタイミングとご縁である
本件では、売却の方向性を決めてから成約ならびに譲渡完了までに長い期間を要しました。これは、引き合いから受注さらに納品までの時間が大変長くなる性質の対象事業において、営業活動の結果、収入及び実績を積み重ねる可能性が生じたり、その見送りがあったり、と事業継続の見極めが難しいことも影響しています。
しかし、これらはすべてご縁であり、タイミングだと割り切るしかないと言えます。例えば、もっと早く譲渡希望価格を下げてでも話を進めれば、譲受企業はもっと早く見つかり、その間の事業運営コストも不要であった可能性もあります。一方で時間経過に伴い売上実績をつけ事業価値を向上させることで、譲受企業候補先を複数集める、結果として譲渡価格をより上げることができた可能性もあります。
事業譲渡は現場が重要であり、そこの人的要素が大きなポイント
今回の譲受企業は同業の機械装置製造業であり、この分野に関連する技術者を多数抱えています。その譲受企業が、対象事業のエンジニアに対しては大いなるリスペクトをもって、事業精査のプロセスにおける面談やヒアリング、事業譲渡に伴う再雇用の交渉局面において対応されました。
具体的には、技術的な課題とその解決方法について、詰問するのではなく、互いの考えを出し合うようなディスカッションがなされました。このような譲受企業のスタンスであればPMIもうまくいくことでしょう。
【参考】当社が自ら買収した際の失敗事例
今回の売主は、事業拡大のために一旦買収した事業の売却を決断されたわけですが、そこには既存事業と取得事業において幾ばくかのギャップがあったのは否めないところでしょう。当社自身が過去に買収して失敗したケース、とそこから学んだ経験を踏まえてFA業務を行っています。ご参考までに、当社取締役会で報告共有した当該の事案の総括の一部を披露してまとめとします。
買収時
買収事業に関する人員不足(継続的メンテナンス人員が不足)
買収後
- 黒字化の責任者不在(専任者不在、いずれも兼任)
- 製品改良や積極的営業のための資金不足
- 損切りに関する議論が複数回でているが決定できず