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マレーシア市場を解明!成長の秘密とビジネスチャンス

東南アジア
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成長を続ける東南アジア諸国の中でも、若年人口や中間所得層の増加を追い風に成長を続けているのが、マレーシアです。豊富な農業製品と製造業による外需の拡大や堅調な内需市場は、海外企業にとっても大きな魅力であり、外資を受け入れる税制や法制も整っています。そこで、今回はマレーシアへの進出を検討している企業や経営者向けに、マレーシア市場の成長の秘密、そしてビジネスチャンスについて解説していきます。

マレーシア市場の魅力

人口とGDP

東南アジアのマレー半島に位置するマレーシアは、面積約33万平方キロメートル(日本の約0.9倍)の国土に約3,350万人(2023年マレーシア統計局)の人口を抱えています。過去10年ほどの人口増加率は年1.3%、平均年齢も28歳前後と非常に若く、今後もしばらくは人口ボーナスが続くと思われます。

住民の約70%をマレー系が占めており、続いて中華系が約23%、インド系約7%という多民族国家を形成しています。国語となるマレー語の他に、中国語、タミール語、英語が公用語として使われています。

多民族国家ということから、信仰する宗教も多様なマレーシアではイスラム教徒64%、仏教徒19%、キリスト教徒9%、ヒンドゥー教徒6%、その他2%という割合を示しています。

国民所得の向上と人口増加によって持続可能な成長を遂げている同国の2023年第4四半期の実質GDPは前年同期比3.0%増となり、前期(3.3%)からは減速したものの、コロナ禍の打撃からは順調に回復していると言えるでしょう。

人口増加のピークは2070年と見込まれており、今後の経済成長も確実視されているため、海外企業からの注目を集めています。

高い経済成長率と安定した政治・社会情勢

マレーシアは、ASEAN諸国の中でも有数の経済成長国です。その一因として、若年層の増加や中間層の拡大による内需市場の活性化、消費者の購買力増加が挙げられます。特に小売業、サービス業、観光業などの内需関連産業にとっては大きなビジネスチャンスであり、投資先としても魅力的な市場になっています。

アメリカの独立系シンクタンク、ミルケン・インスティチュートが2022年に発表した“Global Opportunity Index”では、マレーシアについて東南アジア新興国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)で最も魅力のある投資先として評価しています。東南アジアの中では比較的、政治・社会情勢が安定し、治安が良いこともメリットです。

整備されたインフラ

現在のマレーシア、特にクアラルンプールなどの主要都市では、都市開発およびインフラ整備に大きく力を入れています。不動産市場が活性化し、商業施設やオフィスビル、住宅などが増加し、日本企業でも三井不動産が2022年にクアラルンプールの中心街であるブキビンタンに、ららぽーと1号店を出店しています。クアラルンプール国際空港周辺には、日本でもなじみのある三井アウトレットモールが既に進出を果たしています。

海外企業でも、ショッピングモールを運営する米パビリオン社が高級住宅街のブキダマンサラにあらたなモールを展開。他にもクアラルンプールを中心とした海外からの駐在員が多い地域に大型の新規コンドミニアムを建設するなど、商業施設や住宅の建設の需要に見合ったインフラに整備においては高い水準を維持しています。

マレーシア市場の変化

農業から工業へ

マレーシアは、パーム油や天然ゴム、木材などにおいて世界でも有数の生産国です。特にパーム油は1960年代以降ゴム栽培からの転換を図ることで面積が拡大した大規模なプランテーションが存在するようになり、農業製品の輸出額第1位になっています。とはいえ、GDPに占める農業の割合は長きにわたって縮小傾向にあり、2021年のデータではわずか9.6%に過ぎませんでした。

1981年以降、当時のマハティール首相による外貨導入政策や、重工業化戦略をもとにした工業開発がすすめられた結果、現在の電機電子産業が中心の工業化による経済成長に成功。

1991年には30年後の未来像を掲げた「VISION 2020」を発表。その後継政策である「SPV2030(シェアード・プロスペリティ・ビジョン2030)」では「2020年までに先進国入りを果たし、従来の国内経済格差を解消する」という目標を掲げ、今も発展を続けています。

2022年にはGDPに占める製造業の割合が37.5%と高く、今も主要産業として経済成長に大きな役割を果たしています。また、GDPにも大きく貢献していることから、同国の工業経済は製造業に依存しているともいえます。特に成長が目覚ましい産業は電子機器、自動車、化学製品の分野となり、日本からもトヨタ自動車などの自動車メーカーやソニーといった家電メーカーが進出しています。さらに、食品業界ではキューピーやヤクルトが現地での製造拠点において、基準が厳しいことで知られるマレーシア政府によるハラール認証を取得しました。2023年後半には、京都の半導体メーカー、ローム社がアナログIC生産強化を目的とした工場を新たに設立。

成長するマレーシア経済の中でも電子および半導体産業の成長は特に注目される分野であり、世界的に需要が高まる同産業にとってマレーシアは重要な生産拠点となっています。高品質が人気の日系メーカーにとってもまた、技術提携や生産拠点を置く機会など、競争力の強化に有望な市場であるといえます。

積極的な外資企業の誘致

現在、マレーシアでは外資に対する規制が少なく、積極的に外資企業を誘致していることで知られています。

マレーシアでは、1967年所得税法、関税法、1976年物品税法、1986年に投資促進法、1990年自由地域法など、さまざまな法令によって税制上の優遇措置が設定されてきました。さらに2009年以降、同国ではサービス産業の自由化を掲げ、外資規制を緩和。現在、製造業や流通・サービス業では、100%外資が認められています(一部を除く)。また、マレーシア投資開発庁は、外資の製造業において、一定の要件を満たした企業に対して5年間にわたり法定所得の70%を免税とするほか、ハイテク分野などでは10年間の所得税が全額免除されるケースもあります。

マレーシアには複数の経済特区が存在します。そのうちの1つで、ジョホール州南部で開発がすすむ「イスカンダル・マレーシア」地域では、特に、物流、観光、ヘルスケア、教育、金融サービス、クリエイティブ産業といったサービス業、また電機・電子、石油化学・油脂科学、食品加工・農産品の製造部門などに力を入れており、特定のセクター向けの企業が所得税の免除を受けることができます。

こうした政府肝いりのメリットを活用することで、マレーシアに進出する企業は初期投資のリスクを抑え、持続可能な経営、そして長期的なビジネスの成功につなげるものと期待されます。

マレー系優遇政策の「ブミプトラ政策」

多民族国家であるマレーシアでは、独立当初、先住民のマレー人と中国系住民である華僑との間で民族対立が続き、1960年代末には大規模な民族衝突事件が起きたこともありました。多くの死者が出た暴動をきっかけに、当時経済的に優位であった華僑に対し、マレー人の地位を向上させる政策が展開されることになりました。先住民の地位を向上させるための新経済政策「NEP」が導入され、これを理念として継承されてきたのがブミプトラ政策です。

ブミプトラは現地のことばで「土地の子」「原住民」という意味を持ち、マレー人と先住民を指します。当時の民族衝突の大きな要因が華僑に対するマレー人の不満であり、そうした民族間の経済格差を解消するため、NEPやブミプトラ政策が導入されたのです。

具体的には資本や雇用、教育といった分野でマレー人に有利な制度が設けられ、特権が与えられました。ただ、この政策は結果的に外資を規制するかたちとなり、経済格差をなくす目標はある程度達成されたものの、2009年には縮小方向へと転換し、その後の外資規制緩和へとつながっていきます。

国家の制度としてのブミプトラ政策は終了しましたが、一度根付いた慣習や文化の影響は大きく、今も民族間の経済格差や意識の違いは残っているので、マレーシアでビジネス展開するうえで忘れてはいけない側面であることは間違いないでしょう。

今後の経済動向

ハラルマーケット

イスラム教国家であるマレーシアでは、イスラム法で認められている食品や服飾品、さらに原材料、医薬品、化粧品、加工品など(これをハラールと呼びます)が重要視されています。

マレーシアはハラール先進国としても知られており、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)が行う認証(Malaysia Standard)はもっとも厳しい基準だともいわれています。そのため、マレーシアは自国をハラールロジスティクス・ハブと位置づけ、JAKIM認証を取得した企業が東南アジアをはじめ、中東やアフリカへと商品を輸出しているケースも少なくありません。

経済発展を続ける同国が、今後ますますASEAN内、さらには世界の輸送拠点となるとも見られています。

堅調な内・外需の拡大

輸出向け製造業やサービス業がさかんなマレーシアは外需依存度が高く、世界経済の低迷や減速に影響を受けやすい点が特徴です。特に、マレーシアは中国との経済的な結びつきが強いため、中国経済の減速は大きな懸念材料と目されています。

現在のマレーシアにおいて、経済成長を牽引するのは個人消費を中心とする内需です。マレーシア中央銀行が3月に発表した2023年の年次報告書によると、2024年の実質GDP成長率は4.0~5.0%に回復すると見込まれており、その源泉が堅調な内需と外需の改善とされています。特にサービス業や製造業、観光業、投資事業などにおいて、好調な回復が想定されています。

ただ、今後も地政学的緊張の激化など、世界情勢によっては製造業などの外需に大きな打撃を受けるリスクは想定されます。

まとめ

マレーシアへ進出を検討する場合、まずは現地の情報に詳しい専門家や仲介業者に相談することが重要です。自社だけでは得られない最新情報や過去の進出事例など、豊富な知識でサポートしてくれます。

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