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海外市場調査の進め方とは?調査方法の種類や確認すべきポイントを解説!

海外進出
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新たに海外ビジネスを始めるうえで、海外市場調査は必要不可欠なプロセスです。海外進出には多くの金銭的、時間的コストが必要となるため、それらを無駄にしないために事前にしっかりとリサーチし、少しでも懸念事項を把握・解消することが海外ビジネス成功の大きな要因になります。本記事では海外市場調査の手法やポイント等を紹介していきます。

海外市場調査とは?

海外市場調査とは、日本国外であらたなビジネスを始める際などに進出先の国や地域について調査することです。どんなに質の良い商品やサービスであっても、顧客のニーズや動向、現地の市場文化やマーケティング手法、商習慣から政治や社会情勢まで、幅広い情報がなければ現地で成功することは難しいでしょう。つまり海外調査は、海外ビジネスをすすめるために欠かせないステップといえます。

市場調査が必要な理由

海外進出を検討する場合、国内で展開する以上に現地の文化や生活環境に配慮しなければなりません。市場がある程度安定している日本とは異なり、特に東南アジア諸国では法制度や海外企業への制限といったシステムが頻繁にアップデートされるほか、海外からの参入が増えていることからマーケットシェアや状況が目まぐるしく変化します。多くのコストがかかる海外進出を成功させるためには、常に最新の動向を押さえておく必要があります。

海外市場調査の種類

マーケット調査

マーケット調査とは、進出先の市場動向を調べるもので、インターネットなどを介して国内にいながら得られる情報がベースになります。公的機関から出される統計データや企業ホームページなどから市場シェアや顧客動向、日本市場や類似分野との比較といった観点から分析を行い、市場規模や競争率などを見極めることで売上や利益を予測します。
現地の情報は現地の言語で書かれていることが多く、また国や地域によっては統計データ自体が不足することもあります。親日度についても調べておくと、日本企業が歓迎されるかどうかといった指標になります。

顧客ニーズ調査

進出国の顧客(ユーザー)が何を求めているのか、どんな時に購買を決定するのか、といったニーズを調査します。日本とは文化・習慣が異なるため、国内でヒットした商品が海外でも同様の結果になるとは限りません。さらに、利用目的や価値が異なるケースも珍しくないため、効果的なマーケティングをする上でもあらかじめ調査をして把握しておきたいところです。
様々な可能性を模索するため、アンケートやインタビューなど複数の調査を組み合わせて多角的に顧客分析を進めることをおすすめします。

競合調査

市場や顧客のニーズがあったとしても、すでに現地企業などが独占している場合は参入の余地はないかもしれません。競合の製品やサービス、人気商品を調べることで顧客のニーズを把握することができます。また、日本と同じ商品展開でいいのか、ローカライズする必要があるのか、といった進出国の傾向を知るための重要な情報源になります。
さらに販促方法や販売網などを知ることで、実際に進出してからのマーケティング戦略に役立ちます。また、最終的に競合他社がパートナー候補となる可能性もあります。そうした可能性を考慮しながら、インターネット調査やインタビュー、店頭調査などを組み合わせたリサーチを行いましょう。

法・規制、政治・経済調査

海外進出の場合、国内との法・規制の違いや政治・経済の情報に注意しなければなりません。国内では問題ない成分が規制対象であったり、外貨規制や土地購入が制限されたりする恐れがあるほか、同じ国であっても州や地域によってルールが異なるケースもみられます。
さらに、アジアの国々をはじめ、法律や制度が頻繁に改変される場合があるので、最新の情報を調査することが重要です。

海外市場調査の手段

自社で調査

海外市場調査を自社で行う場合、支援機関や調査会社に依頼した場合よりも費用を抑えられるメリットがあります。また自社の方向性や製品について熟知していますので、戦略やプランに沿った情報収集ができるでしょう。
一方、現地での調査では言語や地理的な壁にぶつかりやすいほか、進出ありきの調査になってしまったり、大きな問題を見逃したりする恐れがあります。また進出国での店頭調査やインタビュー調査においてスタッフを派遣することになり、他者に委託する以上のコストがかかってしまうこともあります。

支援機関に依頼

日本には、ジェトロ(日本貿易振興機構)や中小企業基盤整備機構など、企業の海外進出をサポートする公的な支援機関があります。
ジェトロは国内だけなく海外にも多くの事務所を構えており、国内外の拠点を結んだネットワークをフルに活用し、企業活動や海外進出を支援してくれます。中小企業基盤整備機構は中小企業の海外事業活動について詳しく、その実態やアンケートなどの調査データを提供しています。いずれもオンラインや対面での相談受付やセミナー、研修、情報提供を積極的に行っており、民間と比べて低価格で信用力が高いことが魅力です。

民間の調査会社へ依頼

海外進出する企業を支援する民間の調査会社は、対象国・地域や業界、調査方法など、それぞれの独自の強みを持っています。そのため、自社の方向性や予算に合った調査会社を選ぶことができるのがメリットです。現地で自社サービスのニーズがどれくらいあるのか、数ある製品の中でどれが最も進出国に適しているのか、といった個別の相談や要望び細かく応えてくれるため、はじめて海外展開する企業にとっても強い味方になります。調査会社を選定する際は実績があり、現地の文化や情報に詳しい調査会社を見極めることが重要です。

進出先の国・地域在住の人に直接依頼

現地に実際に住んでいる方に情報提供を依頼することも選択肢のひとつです。実際の店舗や商品の画像提供や、顧客アンケートの実施などに協力してもらうことができます。
自社のスタッフが現地を訪れたり、調査会社に依頼したりするよりもコストを抑えられるのがメリットですが、企業のように大勢を対象としたアンケートや他地域での大規模なリサーチを行うことは難しいでしょう。

海外市場調査の方法

インターネット調査

インターネット調査(もしくはデスクトップリサーチ)は日本国内にいながら、現地の競合や市場、顧客やその嗜好などを海外企業のHPやサイトなどでのレビュー、個人のSNS、政府機関の資料などをもとに調査する手法です。
低コストで効率的に多くの情報を得られる反面、実態とズレが生じてしまう恐れがあるため、誤情報や偏りがないよう注意し、複数のデータを見比べて信頼性のある情報収集を行う必要があります。他の調査方法と併用、またはその事前リサーチとして取り入れることをおすすめします。

アンケート調査

アンケート調査は、進出国の消費者や企業にアンケートに答えてもらう手法です。現地の街中や店頭など、対面で行うこともありますが、大勢の声を集めたい場合はインターネット介した調査を行うこともあります。対面では項目以外の内容について率直な生の声を聞けるのがメリットですが、時間とコストがかかるのがネックになります。日本国内にいる外国人の声を聞き、日本と現地の人気製品や文化、生活習慣の違いについて答えてもらう場合もあります。
現在では街頭調査などよりも比較的コストを抑えることのできるインターネット調査が多くなっています。

店頭調査

店頭調査はおもに小売業を展開するビジネスに適した調査方法で、実際に現地の販売店に赴き、競合商品や既存の商品、価格やパッケージ、購入層などをリサーチします。買い物客などへの満足度調査などのインタビューを同時に行う場合もあります。
複数のスーパーマーケットやデパート、コンビニ、ショッピングモールなどを調査する場合は時間とコストがかかりますが、現地でしかわからない情報収集することが可能です。

体験モニター調査

体験モニター調査(ホームユーステスト)は一定期間、自社の商品やサービスを試してもらったうえで、期間終了後にアンケートなどで感想や希望、改善点などを伝えてもらう方法です。実際に使用してもらうことで顧客の率直な反応を聞くことができるので、「パッケージには惹かれるけど食べてみたら口に合わなかった」、「生活習慣の中で使用するタイミングなかった」などといった失敗を防ぐことができます。
インターネット調査や店頭調査など、ある程度の調査を進めたうえで、本格的な海外参入の準備のために行う場合が多くなります。

インタビュー調査

インタビュー調査は会話を通じて対象者に聞き取りを行う調査方法のことです。アンケートと比べて時間やコストがかかるものの、決まった質問以外の生の声を聞きやすいため、細かい情報を得られる利点があります。インタビューにはその形態によっていくつか種類があります。
・デプスインタビュー:調査対象と1対1でじっくり話を聞き取る方法。
・グループインタビュー:複数の調査対象から話を聞く方法。
・オンラインインタビュー:インターネットを介して調査対象から話を聞く方法。

専門家にヒアリング

進出する国や地域の詳しい情報を知るには、専門家へのヒアリングが有効です。現地の文化や市場についての理解を深められるだけでなく、過去の事例や失敗例、注意事項など自社だけでは知ることのできない、幅広い知識を得ることができます。
「日本での製品名をそのまま使ったら現地では下品なスラングだった」「商品の分野について外貨制限が緩和された」など、それぞれの企業ごとに問題の大小にかかわらず細かい情報までフォローしてくれるのもメリットです。それぞれ強みを持つフィールドや国・地域が異なるので、自社のビジネスに合った相手を選ぶことが重要です。

海外市場調査をする際の注意点とポイント

常に調査目的を意識する

まずは、調査目的を明確にすることが重要です。自社ビジネスの方向性や強みを見極め、海外展開のビジョンをある程度見据えたうえで調査を行いましょう。それを明確にしないまま調査を始めてしまうと、ゴールを見失ってしまい、時間とコストばかりが膨らんでしまう恐れがあります。また、調査そのものが目的化してしまいう場合もあります。何のために調査を行なっているのか、を常に意識しながら進めていくことが重要です。

目的や対象国に合った調査方法を取り入れる

目的が明確になったら、それに合った調査方法を取り入れることがポイントです。これまでにないサービスの展開を考えているなら1対1のインタビューでじっくり話を聞くのも有効ですが、すでに競合がいる商品の場合は店頭調査やアンケート形式のほうが効率的に多くの意見を集めることができます。
また、日本では主流となっているオンライン調査も、先進国以外の国など、まだメジャーではない場合やデータに偏りが出る場合があります。できるだけ時間とコストをかけず、ビジネスに必要なデータを効率的に収集する調査方法を取り入れることが必要でしょう。

社外の専門家に頼る

海外市場調査を行う場合、その手法やデータの活用法、ビジネスへの活かし方など、海外展開に慣れていない自社スタッフだけでは客観的・効率的な調査が行えないことがあります。現地での市場調査を専門の調査会社に依頼するだけでなく、調査そのもののプラン構築や他部署との連携など、海外展開に慣れた専門の会社や専門家のノウハウが役立ちます。海外進出と市場調査を検討する場合、まずは信頼できる専門家を活用することをおすすめします。

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