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海外OEMとは?メリット・デメリットを解説

海外進出
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日本企業にとって、製造コストの高騰や国内市場の縮小は大きな課題です。こうした背景の中、初期投資を抑えて海外市場に挑戦できる「海外OEM」が注目を集めており、特にスモールスタートを志向する企業にとっては有効な選択肢となっています。本記事では、海外OEMの基本からメリット・デメリット、成功のポイントまでをわかりやすく解説します。

海外OEMとは

海外OEMとは

海外OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、製品の製造を海外の企業に委託し、自社ブランドとして販売するビジネスモデルを指し、自動車やアパレル、食品メーカーなど様々な業種で利用されています。製造リソースを外部に持たせることで、自社は販売や企画、開発などに集中することができるという利点があるため、小売店などが独自に企画・開発を手掛けるというケースもよく見られるようになりました。そうして販売される商品はプライベートブランド(PB)と呼ばれています。

近年では、人件費や原材料費の高騰、国内市場の縮小を背景に、アジア諸国や新興国にOEM委託をする日本企業が増えています。ただし、製品の品質や納期、リスク管理など、海外企業との連携における注意点も多く、慎重な事前対策が求められます。

海外OEMを採用する理由

海外進出の手法としてOEMを採用する主な理由の一つは、製造コストの削減です。日本国内で製造するよりも、労働コストや材料費が安い国で生産することで、価格競争力のある製品を提供しやすくなります。また、製品単価が低い場合、日本国内では対応可能なメーカーが存在しないことがあり、海外OEMに頼らざるを得ないケースもあります。

既に海外OEMを行っている場合でも、地政学リスクを分散する目的で、特定の国に依存した供給体制を見直し、現在の委託先とは異なる国のOEMメーカーを新たに探す企業も増えています。このような対応により、突発的な国際情勢の変化によるサプライチェーンの混乱を防ぎ、より安定した製造体制を確保することが可能です。

海外OEMのメリット・デメリット

海外OEMのメリット

海外OEMの最大のメリットは「低コスト化」です。原材料費や人件費が安い国で製造することで、日本よりも大幅にコストを削減することができます。さらに、OEM先の国で製品を販売する場合は、輸送コストや関税の負担を軽減することができます。また、自社で生産設備を持つ必要がないため、初期投資や維持費を抑えながらビジネスを展開することが可能で、スモールスタートにも適しています。

コストの他にも、柔軟な対応が可能であることも海外OEMのメリットとなります。海外OEMメーカーの中には、大量生産が前提の国内工場とは違い、小ロットからの製造に対応してくれる企業も存在します。そのため、在庫リスクや無駄な生産を減らして、コストを抑えながら市場の反応を見つつ販売することができます。既に自社の工場施設を擁する場合でも、対応しきれない注文量や短納期の案件が出てきた際に、海外OEMを活用することで自社の生産能力を補完することができます。このように、海外OEMはコスト・柔軟性・スピード面で多くの利点があり、特に中小企業にとっては有効な製造戦略のひとつとされています。

海外OEMのデメリット

海外OEMのデメリットとしては「品質管理の難しさ」が挙げられます。クオリティ・コントロールに関するノウハウが不足していると、期待通りの製品が仕上がらないという危険があります。仕様の伝達ミスや品質基準の認識のズレによって、不良品ややり直し作業が発生し、結果的にコストや納期に影響が出ることもあります。また、OEM委託先が日本国外にあるため、現地企業とは日本語以外でのコミュニケーションが必要となり、言語や文化の違いによる誤解が生じることもあります。そのため、翻訳・通訳や商習慣理解のためのコストが発生し、プロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性があります。

製造プロセス自体に高度なノウハウや独自技術を有する企業にとっては、外部のOEMメーカーに製造を委託することによって、企業秘密が流出し、企業としての強みを失ってしまうリスクがあります。このような企業にとっては、コスト面ではメリットがあっても、海外OEMには慎重な判断を要します。

海外OEMを成功させるには

海外OEMを成功させるポイント

海外OEMを成功させるうえで最も重要なことは、製造能力や品質管理能力を事前にしっかりと確認することです。書類やオンライン情報だけで判断せず、可能であれば現地の工場を実際に視察し、製造ラインや品質管理体制を自分の目で確かめることをお薦めします。契約後も任せきりにはせず、定期的な訪問や打ち合わせを通じて製造状況をチェックし、品質の安定を図る姿勢が求められます。

中長期で捉えると、OEM委託先との信頼関係を築くことも重要です。特に中小企業にとっては、製品の品質ブレがブランドの信頼を損なうことに直結するため、コミュニケーションの頻度や内容を工夫し、相互理解を深めていくことが欠かせません。そのような言語や文化の壁を超える交渉では、現地に強いネットワークを持つ支援機関やコンサルタントを活用することが、成功への近道となります。

事例

海外OEM支援事例

既に中国でOEMを行っていた小型家電メーカーのクライアントが、地政学リスク回避のために、東南アジアに新たなOEM先を探されていました。クライアント独自に候補先リストを作成されていたものの、ピックアップした会社に問い合わせをしても返信がなく、面談まで進められない状況でした。東南アジア各国では、ローカル言語でないと入手できない情報が数多くあるうえに、外国人が新規の問い合わせをしても、なかなか返信をもらえないことも珍しくありません。

そこで当社は、現地に根ざしたネットワークや、現地企業向けに公開されている企業データベースなどを活用し、同様の小型家電、また類似製品を製造しているメーカーのリストアップを行いました。そこから選定した企業へ現地言語でアプローチを行い、これまでの実績や業績等についてヒアリングをした結果、対象企業との面談を設定するところまでこぎつけました。

まとめ

海外OEMは、コスト削減におけるメリットが大きく、スモールスタートで海外展開を狙う企業にとって有効な手段のひとつです。しかし、海外のOEMメーカーの中には、ホームページも持たず、英語でのやり取りができないといった企業も少なくありません。TSIでは、独自のネットワークを活用し、情報が公表されていない企業にも直接アプローチすることが可能です。さらに、言語の壁を超えた交渉サポートや契約面での調整も含めた実務支援を提供しており、スムーズにOEMパートナーと取引を開始できるようサポートしています。海外OEMを含めて海外進出をご検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

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