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アフリカ進出のメリット・デメリットとは?

海外進出
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アフリカ市場は、人口の増加と経済の発展により、今後ますます重要性を増しています。ビジネスにおいて大きなポテンシャルを秘める一方で、進出前に知っておきたい気をつけるべきポイントがあります。本記事では、アフリカへ進出する際のメリットとデメリットをご紹介します。

拡大するアフリカ市場

アフリカに進出する日系企業の動き

近年、アフリカは経済成長が期待される市場として注目されており、特に製造業やインフラ開発、エネルギー分野での需要が高まっています。中長期の経営計画の柱としてアフリカ市場を重要視する日系企業も少なくはなく、事業拡大の動きが活発になっています。例えば、トヨタグループの豊田通商は、アフリカの再生可能エネルギー開発を手掛ける新会社を設立し、アフリカでの再生可能エネルギー発電容量を現在の約4倍まで伸ばす目標を掲げています。さらに、アフリカで活動するモビリティ関連スタートアップ企業への出資・融資に特化した投資会社も設立し、交通インフラの未整備や移動サービス事業の未発展といった社会的課題解決を支援しています。

世界の建設・鉱山機械分野で高いシェアを持つコマツは、建設機械の情報を遠隔で確認できるシステム「コムトラックス」を開発したことで、離れた工場や機械の稼働状況を把握することが可能となりました。これにより、鉱山などの遠隔地に足を運ぶことなく、機械のメンテナンス管理や稼働状況の確認ができるため、作業効率の改善に貢献しています。近年は、顧客サポート体制の整備に力を入れており、アフリカ各地に新キャンパスを設立して商品教育を行うなど、さらなるシェア拡大のために積極的な投資が行われています。

アフリカ進出のメリット

メリット①成長市場

アフリカは世界的に最も人口が増加している地域で、2050年には約25億人に達すると予測されています。特に、若年層の割合が高く、今後はさらに消費者層の拡大と労働力の供給に大きく貢献するものと見られています。新たな中流階級が生まれてくると、消費財やサービスの需要が増加するため、自動車、家電、日用品、IT関連サービスなど、多様な産業で市場拡大が期待されます。

さらに、近年、アフリカは急速な都市化と経済成長を遂げており、特にインフラ開発、エネルギー共有、通信技術などの分野で多くの需要が生まれています。これらのインフラ整備に関わるプロジェクトや技術提供の機会が広がっているため、日系企業にとって大きなチャンスと言えます。アフリカの成長市場は、長期的な投資と事業展開において非常に魅力的で、多くの企業が成長ポテンシャルを見込んで進出しています。

メリット②豊富な天然資源

アフリカは、原油や天然ガスをはじめ、金、ダイヤモンド、プラチナといった多種多様な鉱物資源を産出しており、世界経済において重要な役割を果たしています。例えば、コンゴで産出されるレアメタルのコバルトは、電気自動車や電子機器のバッテリーに使われており、世界中で需要が高まっている鉱物資源のひとつとなっています。

これらの資源を安定的に確保することで、新興技術やエネルギー分野での競争力を高めることができます。さらに、現地での資源採掘や加工を行うことで、現地経済に貢献しつつ、自社の製品やサービスを現地で生産・販売できるチャンスも広がります。現地政府やパートナー企業との協力により、資源開発を通した雇用創出やインフラ開発が進み、事業の長期的な成長が期待できます。

メリット③新興テクノロジー市場

アフリカでは、新興テクノロジー市場が急速に成長しており、特にデジタル技術やIT分野が注目されています。なかでもスマートフォンの普及は急速に進んでおり、それらに関連したサービスが近年増加しています。ケニアのモバイル決済システム「M-Pesa」は、SMSを利用して手軽に送金が行えるサービスで、銀行口座を持つことが容易でなかった貧困層を中心にその利用が広まりました。そして、サービスの提供開始からわずか4年でケニアの約80%の世帯まで行き渡るようになったのです。その総取引額はケニアのGDPの半数に達し、アフリカにおけるテクノロジー企業の成功例として知られています。

さらに、アフリカ諸国はデジタル化に力を入れており、デジタル教育やヘルスケア、アグリテックなど、様々な分野での技術革新が進んでいます。アフリカの新興テクノロジー市場は、成長の初期段階であるため、先行者利益を享受できる点も大きなメリットと言えるでしょう。IT分野は日系企業にとっても進出しやすく、新たなビジネスの場として注目が寄せられています。

アフリカ進出のデメリット

デメリット①政治的・経済的リスク

アフリカの一部地域では、政治的不安定さや政権交代による政策の急激な変化が生じることで、事業の継続性が脅かされるリスクがあります。政情不安や紛争なども、投資環境を不安定にする大きな要因となります。また、経済的リスクとしては、為替の変動やインフレーションが不安定な地域が多く、現地通貨の価値が乱高下することで、企業の利益が損なわれるおそれがあります。特に、輸出入を行う企業にとっては、通貨安がコスト増加に直結するため、これらのリスク管理が重要となるのです。

このような政治的・経済的リスクは、アフリカに進出する上で大きな課題と言えましょう。リスクを最小限に抑えるため、現地パートナーとの連携やリスク分散の戦略が成功の鍵を握ることになります。

デメリット②インフラの未整備

アフリカは、地域ごとに発展段階が異なりますが、全体としてインフラの整備がまだ十分とは言えません。企業にとって重要な物流インフラは、主要都市間では港湾、空港、道路、鉄道が整備されているものの、内陸部や地方ではまだそこまで追いついておらず、物流の効率化が立ち遅れている地域も存在します。物流インフラが確保できていないと、製品や原材料の輸送コストが増加したり、納期の遅延や供給チェーンの混乱が生じやすくなったりするなど、事業運営に大きな負担がかかることになってしまいます。

現在、交通、通信、エネルギー分野を中心に積極的なインフラ投資が進められており、政府の支援を受けたプロジェクトが数多く始動しています。今後は基礎的なインフラが整えられていくことが期待されますが、アフリカに進出する際には、必要となるインフラを確保できるかどうかを見極めることが必須と言えましょう。

デメリット③競争の激化

近年、アフリカ市場は世界中から注目されており、日系企業だけでなく、欧米や中国などの多国籍企業も積極的に進出しています。その結果、特にインフラ、エネルギー、通信、製造業などの成長分野で競争が激化しており、進出企業にとっていくつかの問題が生じていることも事実です。

1つ目は、他国企業との競争により、価格競争が過熱しやすくなることです。価格面での優位性を保つことが厳しい状況となるため、利益率の低下やコスト圧力が高まる可能性があります。2つ目は、市場シェアの確保が難しくなることです。既に現地に強力なパートナーシップを築いている企業がある場合、新規参入企業は市場に根付くまでに多大な時間とリソースを要することになります。既存の企業が築いたネットワークや顧客基盤は、特に進出初期において大きなハードルとなってしまうのです。このように、競争の激化はアフリカ市場における事業展開を複雑化させ、長期的な成功を目指す上で大きな障壁となりかねません。

まとめ

アフリカは、多くの課題が残る地域であるものの、その豊富な資源と長期的な経済成長を後押しに、ビジネスチャンスを求めて世界中からビジネス進出する動きが加速しています。アフリカ市場に進出する際には、メリットとデメリットを総合的に考慮し、戦略的に進出計画を立てることが不可欠です。現地パートナーとの連携や市場における深い洞察、リスク管理を徹底することが、アフリカ市場での成功を導く鍵となるでしょう。

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