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アフリカ進出の基礎知識|地域ごとの特色と日本企業の動向

海外進出
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多様な国と地域から構成されるアフリカ。爆発的な人口増加が牽引する経済規模と成長ポテンシャルを背景に、近年アフリカへ進出する企業が増えてきています。世界中から注目を集めるアフリカ市場には、どのような特徴があるのでしょうか?日本企業の進出事例とあわせてご紹介します。

アフリカ市場の魅力

今後の経済発展が期待されているアフリカ市場には、どのような魅力があるのでしょうか。アフリカ大陸の概要とともに解説します。

アフリカ大陸とは?

アフリカ大陸は、約3,037万㎢という世界第2位の広大さを誇る面積を持ちます。54の国々から構成され、そこでは14億人以上が暮らしています。文化的には1,500種以上の言語が話され、宗教や伝統が地域ごとに異なるという豊かな多様性が特徴です。

19世紀末から20世紀にかけて植民地化の影響を受けましたが、近年は多くの国が独立し、経済発展を進めています。中でも、豊富な石油や鉱物資源、農業が主要産業として栄えていますが、その一方で貧困、政治的不安定、気候変動などの課題を抱えていることも事実です。

アフリカ市場の概要

アフリカ市場は、急成長する新興市場として世界的に注目されています。アフリカの人口は2050年までに20億人を超えると予想され、世界人口の4分の1をアフリカが占めることとなります。経済の中心地として、ナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトなどの国々がリードしています。

アフリカ市場では、フィンテック、エネルギー、農業、テクノロジー、インフラ整備が主要な成長分野です。特に、モバイル決済をはじめとするフィンテック分野は、スマートフォンの普及に伴い急成長を遂げています。

さらに、アフリカ大陸の関税を撤廃し、貿易ルールを共通化する「アフリカ自由貿易圏(AfCFTA)協定」の運用が2021年から開始されました。「アフリカ版EU」と呼ばれるもので、アフリカ54カ国・地域間の貿易と人の流れを活発化し、いずれは共通通貨を導入することも目指しています。これによって、アフリカ大陸の単一市場が誕生することとなり、アフリカの経済発展と世界における競争力の強化が期待されています。

地域ごとの特色

アフリカには5つの地域がありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。地域ごとの特色を解説します。

北アフリカ

北アフリカは、地理的にヨーロッパや中東に近いことから、古くから交易の要所として発展してきました。現在も、資源輸出、観光業、農業などが経済の基盤を形成しており、他のアフリカ地域に比べ比較的高い経済成長を遂げています。

また、豊富な天然資源に恵まれており、特に石油、天然ガス、リン鉱石などが経済の柱となっています。アルジェリアとリビアは、世界有数の石油および天然ガスの輸出国であり、国家財政の大部分を支えています。エジプトも天然ガスの生産が盛んで、東地中海ガス田の開発によりさらなる輸出拡大が見込まれています。しかし、これらの国々は資源価格の変動に大きく影響を受けやすく、経済の多角化が課題となっています。

西アフリカ

西アフリカは、豊富な天然資源、農業、サービス業を中心とした経済が特徴です。西アフリカ経済共同体(ECOWAS)による地域統合も進んでおり、経済協力と自由貿易の促進に取り組んでいます。

西アフリカでは、サービス業が急成長しており、特に通信、金融、貿易が発展しています。ナイジェリアのラゴスは、地域の経済中心地として金融サービスや商業活動が集中し、急速な成長が見られます。また、ナイジェリアやガーナでは、テクノロジーとスタートアップのエコシステムが拡大しており、ラゴスやアクラなどの都市でテックハブが形成されつつあります。

中部アフリカ

中部アフリカの経済は、豊富な鉱物やエネルギー資源に恵まれており、特に石油、天然ガス、銅、コバルト、ダイヤモンドといった鉱物資源が経済の中心となっています。

しかし、自然資源に依存する産業は、国際市場での価格変動の影響を強く受けるため、経済がしばしば不安定になることもあります。中部アフリカの多くの国々は、鉱業や石油産業への依存から脱却し、経済の多様化を進める必要がありますが、他の産業への投資が進んでおらず、産業構造の転換が求められています。

東アフリカ

東アフリカは、農業、観光、サービス業、工業など多様な分野で経済成長しています。インド洋に面した東部アフリカの国々は、貿易においても地理的に重要な位置を占めているのです。

東アフリカでは、金融サービスや通信技術の急速な発展により、特にモバイルマネーの普及が進んでいます。ケニアの「M-Pesa」はその代表的な例で、他の国々でも同様のサービスが普及しています。銀行口座を持たない多くの人々が金融サービスにアクセスできるようになったため、経済活動がさらに活発化するようになりました。さらに、東アフリカの大都市では、テクノロジースタートアップが増加しており、デジタル経済の発展が注目されています。特に、エチオピアとケニアは、IT関連のサービスやスタートアップの拠点として急成長しています。

南部アフリカ

南部アフリカでは、豊富な資源で多様な経済活動が展開されています。鉱業は多くの国で外貨収入の主な源となっており、国内総生産(GDP)の大部分を占めています。

アフリカ大陸最南端の南アフリカでは、自動車、化学製品、鉄鋼、食品加工といった製造業が発展しています。他の多くの南部アフリカ諸国では、製造業の規模が限られている一方で、南アフリカはサハラ以南で最も工業化が進んでおり、製造業はGDPにおいて重要な割合を占めています。南アフリカ以外の工業化の促進にはインフラ整備、技術革新、人材育成が必要とされています。

アフリカにおける日本企業の動き

近年アフリカに進出している日本企業とその動向をご紹介します。

日本企業の動向

2024年現在、アフリカには716の日本企業の現地法人等が存在しており、5年前と比較して約100社が新たに進出を果たしました。進出先は、南アフリカ、ケニア、モロッコ、エジプト、ナイジェリアが拠点数の多さでトップ5カ国となっています。アフリカで法人を立ち上げた企業数は105社に上り、この5年で1.5倍以上増加しました。

産業では、自動車、現地製造業向けの資機材の販売、資源や農作物の輸入、消費財の販売などが、日本企業の事業として多く見られます。また、現地の法人を直接顧客とするB2B業種で進出している企業も少なくありません。

進出している日本企業

味の素

味の素は、現地化に徹底した企業として知られています。主力商品の「味の素」は、どの国でも一袋1コインという価格設定で、低所得の人たちにも手が届くように販売されています。小売店で直接販売するシステムをアフリカで確立したことにより、手軽に製品を消費者に届けることができるようになりました。

進出先の国のライフスタイルにあわせることで、長く愛される企業となり、海外での売上を大きく伸ばすことに成功したのです。さらに、アフリカの子どもたちの栄養改善に取り組むなど、現地が抱える社会的課題を解決することにも力を入れています。

ヤマハ発動機

現在、ヤマハ発動機はアフリカ50ヵ国以上に進出しています。ガーナでは、船外機のシェアをヤマハ発動機が90%以上を占めています。その背景には、製品の販売だけではなく、現地のニーズに応えるサービスやノウハウの提供を行うなど、長年の企業努力と、アフリカの持続的な発展に貢献してきたという経緯があります。

二輪車事業においては、近年、ナイジェリアに生産拠点を構えたり、スタートアップに投資したりと新たな動きを見せています。将来的には、主要市場であるアメリカを超える事業規模を目指しており、今後の成長が期待されます。

まとめ

今後長期的な成長が見込まれるアフリカには、多くの企業が熱い視線を送っています。しかし、課題が多く残されている同地域への進出は、そう容易いことではありません。思いもよらないところでつまずくことがないよう、信頼できる専門家に情報収集などのサポートを依頼し、大きなビジネスチャンスを掴めるように準備をしっかり行いましょう。

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