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経済大国を目指すインドのサービス業

インド
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経済大国として急成長するインドでは、サービス業が重要な役割を担っています。特に金融、観光、教育、ヘルスケア、娯楽といった分野の発展は目覚ましく、インド市場への進出を視野にいれた企業や個人に、大きなビジネスチャンスをもたらしています。この記事では、インドのサービス業の特徴と主要分野について詳しく解説していきます。

インドのサービス業

インドのサービス業の特徴

インドは、豊富な若年層を抱えた、世界有数の人口大国です。労働人口が多く、人件費が比較的低いことに加え、ITの技術や知識を持ち、英語堪能な人材が多いことから、アウトソーシングやITサービス分野で世界的に強みを発揮しています。また、経済成長に伴う国内市場拡大を背景に、成長するサービス分野は多方面に及び、需要の増加によって更なる発展を遂げています。さらに、政府のデジタル化を追い風に、Eコマースやオンライン決済などのデジタルサービスも活発化しています。しかしその一方で、都市部への集中による地域格差やインフラ整備の遅れ、高度人材育成といった課題も依然として残されていることも事実です。

主なサービス業分野

インドのサービス業は多岐にわたり発展しています。特に成長の著しい分野をご紹介します。

金融

インドの金融業は、急速な経済成長とデジタル化を背景に、大きな変革期を迎えています。なかでも、モバイル決済、オンライン融資、保険テックなど、フィンテック分野には著しい成長がみられます。政府は、国民の誰もが金融サービスにアクセスできるようにするために、個人識別番号制度「アドハー」、国民皆口座政策「PMJDY」を実施しています。こうした取り組みによって、簡単に口座開設ができるようになり、保険や融資などの金融サービスが利用しやすくなりました。

また、統一決済インターフェース(UPI)の普及により、キャッシュレス化が加速し、スマートフォンでの送金や決済利用も拡大しています。UPIは、スリランカとモーリシャスでも利用できるようになり、クロスボーダー決済の普及が期待されます。(出所:ジェトロ

多くのスタートアップ企業、国内外の企業の参入など、インドの金融市場は活性化する一方で、世界的な金融機関やIT企業の進出による競争激化、農村部への金融サービス展開、サイバーセキュリティ対策といった課題も残されています。

観光

多様な文化、宗教、歴史、自然景観を有するインドには、地域ごとに異なる魅力を持つ観光地が多数存在します。タージ・マハルのアグラ、ヒンドゥー教の聖地バラナシ、黄金寺院があるアムリトサルなどは外国人観光客からの人気が高いことで知られています 。政府は、観光業を経済成長の柱として、eツーリストビザを導入し、ビザ取得の簡素化を進めています。これにより、多くの国から観光客がインドへ渡航しやすくなりました。観光業の成長に伴い、空港や交通、宿泊施設などの観光インフラの整備が課題とされており、政府は財政支援、大規模なインフラプロジェクトを進めることで、改善・強化を図っています。

また、インド人旅行者の増加に伴い、東南アジア市場ではインドが次の成長市場として注目を集めています。東南アジア各国の観光業社は、これまで旅行者数でトップであった中国に代わり、インドを新たな市場と位置付け、路線の増加やマーケティング活動に力を入れています。

教育

インドは、教育分野でも大きな進展を遂げています。特に、ITやエンジニアリング分野に強みを持つ教育機関が多数存在し、世界中から留学生を受け入れています。2020年に発行された国家教育方針には次の通り記載され、中学・高校から情報技術を学び、国力となる人材を育てています。「インドの未来を担うAI、機械学習、データサイエンス分野でのリーダーシップ確立のため、全教育課程で数学と計算的思考を重視する。初等教育ではゲーム等で興味を引き、中学校からはプログラミングを導入する。」

また、政府主導による、オンライン教育の多言語教材の統合サイト「PM e-VIDYA」も開設されており、教育へのアクセスが広がっています。特に、経済的な理由で十分な教育を受けられなかった学生や、農村などリモートエリアの学生にも学びの機会が増えています。

ヘルスケア

インドのヘルスケア市場は、医療技術の進展とともに著しい成長を示しています。医薬品の製造大国であるインドは、世界中に低価格で高品質な医薬品を供給し、国内の医療サービスも充実していることから、医療ツーリズムの人気が高まっているのです。高度な医療技術や治療を低コストで受けられることが、外国人患者からの需要を後押ししています。

デジタル技術を活用した「ヘルステック」には、多くのスタートアップが参入しており、医師不足、農村部の医療課題解決に取り組んでいます。例えば、心電図のAI診断サービスや遠隔からスマートフォンで利用できるオンライン診療プラットフォームサービス、AIを活用した医療画像診断支援システム、遠隔読影サービスなどがあり、国内外でのサービス拡大が進められています。

エンターテインメント

インドのエンターテインメント業界は、映画産業を中心に活況を呈し、特にボリウッドは世界的にも有名です。年間1,500本以上公開されるインド映画は、その制作数でも世界で最も多く、独自の文化とスタイルを反映した作品に国内外で多くのファンを持ち、輸出も増加しています。

また、インターネットとスマートフォンの普及により、ゲームやストリーミングサービスの利用も急増しており、インドは世界的なエンターテイメント市場の一翼を担っています。これまで日本のアニメ・漫画は、欧米や他のアジア諸国に比べて普及が遅れていたものの、日本のコンテンツに触れる機会も増えているため、近年その人気は急速に高まっています。

まとめ

インドのサービス業は、経済成長や人口増加を背景に、金融、観光、教育、ヘルスケア、娯楽といった多くの分野で急速な発展を遂げています。特に、デジタル化と技術革新が進む中で、インド市場は企業にとっても魅力的なターゲットとして写ります。技術革新、デジタル化、インフラ整備などにより、今後さらに成長し、グローバルなビジネス機会を創出すると予想されます。インドへ進出する際には、現地の市場動向や課題を理解し、柔軟な戦略を採ることが成功への鍵となるでしょう。

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