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インド経済の最新動向をわかりやすく解説!

インド
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14億人超という世界最大規模の人口を抱えるインドは、若い労働人口に恵まれた「人口ボーナス期」と呼ばれる時代が続いています。人口ボーナス期では、豊富な労働力を背景に生産や消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるという側面もあり、経済が拡大しやすいとされています。そのような背景で世界的な景気減速にも関わらずインド経済は高成長が続いています。本記事では、今最も注目を集めるインド経済の最新動向について、インド経済を支える主要産業とともに解説します。

インド経済の概況

2024年に発表された世界各国のGDPで第5位にランクされたインドは、今や経済大国となりました。経済は堅調に推移しており、民間投資の回復や政府のインフラ支出の増加を背景に、実質GDPはコロナ禍前の水準から20%増となっています。国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによれば、6%台の成長率を2024年以降も維持すると見込まれており、主要国の中でも高い成長率と見られています。

以下の図(出展:JETRO)によれば、低所得者層の割合が年々減少し、富裕層と上位中間層が増加すると予測されています。中間層以上が増加すると、購買力が高まることはもちろん、教育水準の向上により社会は安定する傾向にあるため、外国からの投資が今後ますます増加することになるでしょう。

インド経済を支える主要産業

グローバル人材と自然資源を背景に、インドでは多様な産業が発展しています。以下では、インドの主要産業について解説します。

IT・BPOサービス

世界のIT・BPOサービス分野でリーダーシップを発揮するインド。バンガロールやハイデラバードなどの都市は「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、数多くのIT企業が集積しています。インドのIT企業はソフトウェア開発、システムインテグレーション、クラウドサービスなど、多岐にわたるサービスを提供しています。

BPOは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、自社の業務を外部に委託することです。BPO業界では、カスタマーサポート、バックオフィス業務、データ分析などのアウトソーシングサービスが世界中の需要を集め、急成長しています。インドのBPOサービスの特徴として、高い英語力を持った人材を低コストで調達できることがあげられ、それが強みとなっています。

インド政府もIT産業の育成に力を入れており、インフラの整備や教育プログラムの充実を図っています。IT産業の需要に対応できる高度なスキルを持つ人材を育成することで、インドは世界有数のIT人材供給国としての地位を確立しています。今後も世界のIT・BPO市場で、インドは重要な役割を果たし続けることでしょう。

製造業

インドの製造業は、「メーク・イン・インディア」政策によって大きな注目を浴びています。自動車、電子機器、化学製品、繊維など、さまざまな製造分野での生産が活発化し、特に自動車産業は、Maruti SuzukiやTata Motorsなどの国内メーカーに加え、トヨタやフォードといった多国籍企業も工場を構え、インドは主要な自動車生産拠点となっています。

製造業の発展は雇用創出や技術革新にも寄与しています。インド政府は外国直接投資(FDI)の促進やインフラ整備、労働力のスキルアップを推進し、製造業の競争力強化を図っています。スマートファクトリーやテクノロジーの自動化など、最先端の技術が導入されており、生産効率の向上が期待されています。

このように、インドの製造業は経済成長の原動力として、グローバル市場での競争力を高める重要なセクターとなっています。今後もインドの製造業発展に注目が集まります。

農業

世界最大の農業国の一つであるインドでは、農業が国民の生活と経済において重要な役割を果たしています。全人口の約50%が農業に従事しており、主要な作物として米、小麦、綿花、茶、砂糖などが挙げられます。インドの農業は国内消費のみならず、輸出にも大きく貢献しており、特に米や茶は輸出量において世界トップクラスです。

近年では、農業の効率化と生産性向上を目指した技術導入が進められています。スマートアグリカルチャーや精密農業といった先進技術の導入が進み、気候変動に対応した持続可能な農業の実践が注目されています。また、政府も農業インフラの整備や農民への支援を強化し、農業分野の発展を促進しています。また、デジタルプラットフォームを活用した農産物の流通やマーケティングも進化しており、農家が直接市場とつながることで、収益の最大化が図られています。これらの取り組みにより、インドの農業は持続可能で効率的な形へと変わりつつあります。

農業の現代化と効率化は、インドの食糧安全保障と経済成長を支えるために進歩しています。これからも技術革新と政策支援によって、インド農業のさらなる発展が期待されています。

小売・サービス業

インドの小売・サービス業は急速に成長しており、経済の主要な柱とされています。経済のデジタル化と都市化の進展により、Eコマース(電子商取引)が急速に普及し、AmazonやFlipkartなどのオンラインショッピングプラットフォームが人気を博しています。これにより、都市部だけでなく地方でも購買行動が大きく変化しました。また、伝統的な小売業も依然として強大な影響力を持ち、地域ごとに特色あるマーケットが存在しています。

サービス業では、金融、医療、教育、観光などの分野で成長が見られます。特に医療ツーリズムやITサービスは国際的に注目を集めており、インドは世界的なサービス提供国としての地位を確立しています。

このように、インドの小売・サービス業は経済成長と消費者ニーズの多様化に対応して進化を続けているのです。今後も富裕層の増加によって購買力が高まることで、小売・サービス業が大きく発展していくことが予想されます。

エネルギー産業

インドのエネルギー産業は、経済成長と持続可能な発展を支える上で、重要な役割を担っています。石炭、石油、天然ガスなどの従来のエネルギー資源は、依然として国内エネルギー供給の大部分を占めています。しかし、急速な経済成長と人口増加に伴い、エネルギー需要は増加の一途を辿っています。

近年では、再生可能エネルギーの導入が加速しています。インド政府は、太陽光発電や風力発電を中心とした再生可能エネルギープロジェクトを推進しており、2030年までに全エネルギー供給の40%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げています。これにより、エネルギーの多様化と環境負荷の低減が図られています。

さらに、エネルギー効率の向上と電力インフラの整備にも注力しています。スマートグリッド技術や電力貯蔵システムの導入により、エネルギーの安定供給と効率的な利用が実現されています。インドのエネルギー産業は、持続可能な発展と経済成長を支える重要な要素であり、今後もその進化に注目が集まります。

まとめ

多様な産業によって支えられているインド経済は、今後も人口ボーナス期が続くと予想され、その成長はさらに加速し、国際的な競争力を高めていくことになります。日本にとってもインドは重要な国とされ、ジェトロの発表したデータによると、2022年の全インドにおける日系企業数は1,439社、拠点総数は4,790と報告されています。日本のみならず、世界から多くの企業がインドに開発やイノベーションの拠点を設けることがスタンダードになっており、今後はインドを中心に技術や経済が発展していくこととなるでしょう。

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