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【北部】世界人口ランキング1位のインドを地域別に解説!

インド
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爆発的な人口増を記録し、ついに中国を追い越して世界人口ランキング1位にのぼりつめたアジアの大国、インド。広大な国土を持つ同国を地域別に分け、その特徴や日本企業が進出するうえで知っておくべき情報を解説いたします。

インド北部の概要

首都デリーを擁するインド北部は、東西南北の地域別で国内最大の人口を誇り、政府関連機関や金融機関が数多く置かれるなど、政治経済の中心地です。ヒンドスタン平原が面積の大部分を占め、熱帯・亜熱帯・乾燥帯が広がり、ヒマラヤ山脈周辺は高山気候にも分類されます。同地域には日本人も数多く居住し、成長目覚ましいインド市場や製造業の要として国内外から注目されています。

人口・面積・GDP

広大な国土と豊富な人口を抱えるインド。昨年、ついにその人口が中国を追い抜いて14億2577万人に達し、世界ナンバー1の大国となりました。国土面積は328万7,469平方キロメートル(インド政府資料:パキスタン、中国との係争地を含む)と、日本の約8.7倍になります。民族的にはインド・アーリア族、ドラビダ族、モンゴロイド族などが共存し、北部には主にアーリア系を祖先に持つ民族が暮らしています。

連邦公用語はヒンディー語ですが、そのほかにも憲法で公認されている州の言語が21種類にのぼります。 国民の約8割がヒンズー教徒で、次にイスラム教徒、キリスト教徒、その他と続きます。

インドでは2022年の年間GDP総額は約3兆417億円、成長率は7.0%と、高水準で推移していることが見て取れます。

インドにおける経済的地位 

インド北部には総人口のうち、3分の1にあたる約5億人が暮らしています。地域別GDPは8110億米ドル(2022年)と、全体の約25%を占めており、インドの広大な国土のなかでも最も経済発展が活発な地域と言えるでしょう。

インドの在留邦人は約1万人いると言われますが、そのうち約半数が北部の首都デリーおよびその周辺地域に集中しています。

インド北部の産業構造

中心都市

デリー

インドの首都デリーは、8つある連邦直轄領の1つです。1,679万人の人口を抱える大都市圏で、金融業や保険業、不動産業といったサービス産業を中心に栄えているほか、電子機器や自動車部品、自動車、繊維といった製造業も盛んです。

イギリス統治下で近年に形成されたニューデリーは国会議事堂や官庁が集まる政治と経済の中心地。デリー市行政自治体ではなく、インド政府直轄組織のニューデリー市行政委員会の管轄下にあります。

一方、古くからあるオールドデリーはムガル帝国後期の首都が置かれた地域で、今も歴史的建造物が多く残されています。

現在日本の教育現場ではインドの首都を「デリー」としていますが、日本の外務省やインド政府の公式サイト、国連の地名標準記法一覧表では首都を「ニューデリー」と表記しています。 

主要産業

政治

インドでは1950年にインド憲法が施行され、連邦共和制を採用。現憲法ではカースト制度は禁止されています。大統領を元首とし、現在は2022年7月の選挙で選出されたドラウパディ・ムルム氏が第15代大統領を務めています。議院内閣制を敷いており、大統領が任命する首相が実質的に政府の長として行政権を行使。大統領はあくまで憲法と法律を維持、保護、擁護することが憲法上の職務として定められています。

ナレンドラ・モディ首相が二期目を務める今、インド政府は経済発展をすすめる傍ら、イスラム教徒が多数を占める州に認めてきた特別自治権を撤廃するなど、ヒンドゥー教徒を重視する姿勢を見せています。また、「メーク・イン・インディア」「デジタル・インディア」「クリーン・インディア」といったスローガンをかかげ、雇用創出と輸出を生む製造業に力を入れ、国内のIT産業強化をはかるほか、衛生面での整備にも力を入れています。

外交面ではロシアと友好関係を維持する一方で、日本・アメリカ・オーストラリアと「クアッド」を組むなど、欧米諸国との連携も維持する「全方位外交」を構築。親日感情が強く、日本との関係性は良好で、2014年のモディ首相訪日後に両国関係は「特別」戦略的グローバル・パートナーシップへ格上げされました。

工業

インドを支える主要産業はIT・BPOサービス、製造業、農業、小売業・サービス業、エネルギー関連です。インド北部で盛んな製造業では、電気自動車産業や関連インフラの整備が進んでいることから、現在変革期にあたると言われています。

爆発的な人口増の真っ只中にあるインドでは、市場拡大のポテンシャルが非常に高く、特にデリーは高度な人材が豊富な市場として世界中から注目を集めています。前述のようにモディ首相は2014年の就任時より、製造業振興策「メーク・イン・インディア」を掲げており、貿易赤字の削減を目標に自動車や電子部品、化学、食品加工といった分野での後押しをとりわけ大きくアピールしています。

現在は補助金などのインセンティブを中心に、海外からの投資を呼び込む具体的な政策も展開されています。

インド北部に進出する日系企業

人口が世界一になったことなどから、インドは今、世界中から再び注目を集め、日本からも多くの企業が進出し、安定した黒字経営を維持しています。

たとえば、2000年にインド進出したダイキンは、当初タイの工場で生産した製品を輸入していました。しかし2009年に北部ニムラナに現地生産拠点を設立。それが大きな転機となり、従来よりも比較的低価格で製品を供給することができるようになりました。幅広い製品ラインナップを提供する同社のビジネスは、地域によって気候や空調へのニーズが異なるインドと合致し、言語や文化の違いを超えたローカライズが功を奏したかたちです。

ほかにもユニチャームやトヨタ、日通や日本電産など、さまざまな企業が現地に拠点を置き、インド国内でのビジネス展開をすすめ、成功をおさめています。

まとめ

このように、今やインドはアジアのみにとどまらず、世界中の企業のあらたな拠点、投資先として注目を集めています。ただその一方で、インドには依然として旧来のカースト制度の名残があるほか、地域によって大きく特色が異なるという課題があることも事実です。現地に進出して成功するには、同国の事情に精通した専門家からのサポートが不可欠となるでしょう。

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