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【西部】世界人口ランキング1位のインドを地域別に解説!

インド
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世界人口ランキングにおいて長らく1位であった中国を抜いて、2023年、インドが約14億2,862万人でトップへと躍り出ました。インドには29の州と7つの連邦直轄領があり、大きく東西南北の地域に分かれます。進出を成功に収めるためには、各地域の独自性と特徴、それらが及ぼす影響を深く掘り下げることが重要です。

この記事では、西部インドの人口統計や経済動向、産業構造を解説し、この地域が国際的にどのような役割を果たしているかを明らかにしていきます。

インド西部の概要

インド西部は、ムンバイをはじめとする大都市が連なり、それぞれが異なる産業で成長しています。金融・商業・製造業などの多様な経済活動と文化が共存し、世界で最も急成長する地域の1つとされています。そんなインド西部の人口・GDPなどの概要についてご紹介します。

人口・面積・GDP

インド西部は、マハーラーシュトラ州・グジャラート州・ゴア州の3つの州からなります。インドを東西南北で大別すると、面積、人口共に地域としては、最も小規模となりますが、ムンバイのあるマハーラーシュトラ州だけでもデリー都市圏に次ぐ人口の多さです。日本と近い規模で、それだけ密集したエリアといえます。

インド西部のGDPは、名目GDP・1人当たりGDPともに、3つの州いずれも高く、経済的に豊かな地域であるといえます。特に、経済規模が大きく、国全体に占めるGDPの割合も高いマハーラーシュトラ州には、富裕層が集中しています。

インドにおける経済的地位

インド西部は、急速な発展を続けるインド経済の中核を担っています。ムンバイをはじめとする都市がアジアでも有数の金融センターとしての地位を確立しており、多くの国内外企業が集積するビジネスハブとなっているのです。

また、国際市場への輸出が活発で、グジャラート州では、ムンドラ港での西インド・北米(WIN)サービスが開始されます。インド西海岸の主要港とニューヨークやチャールストンなどの米国東海岸を結ぶコンテナ船が定期運航をするこのサービスは、国際海上貿易におけるインドの役割を強化すると同時に、インドと北米間のサプライチェーン効率化を促進することが期待されています。

ボリウッドと呼ばれる映画産業も盛んで、文化的な影響も国際的に広がっています。インド西部の経済的地位は、都市が引き続き成長し、新たな投資を引き寄せることにより、さらに強化されています。

インド西部の産業構造

インド西部は金融、エンターテイメント、製造業が集中しています。各産業は地域の経済成長を牽引し、インド経済の成長をも加速させているのです。 以下では、主要な都市と主な産業についてご紹介します。

中心都市

インド西部の中心では、ムンバイの他にスーラト、アフマダーバード、プネーが主要都市として知られています。

グジャラート州に位置するスーラトは、ダイヤモンドのカット・研磨・加工といったダイヤモンドビジネスの中心地です。整備が進められ、近年貨物取扱量が増加しているハジラ港からも近く、周辺に重工業地帯があることも要因し、急激な経済成長を遂げています。

同じくグジャラート州に位置するアフマダーバードは、急速な経済発展を遂げた工業都市、マハラーシュトラ州の技術開発と教育の中心地プネーには、自動車産業やIT産業が集中しています。

ムンバイ

マハーラーシュトラ州に位置するムンバイは、英領時代、東インド会社がムンバイの良港に目をつけ、西の拠点としたことで、インド西海岸の海運や貿易の要所となりました。その後もインド国内外の貿易拠点として発展し続け、現在はアジア有数の金融の中心地としてインド国内でも最大規模の商業都市となりました。

そんなムンバイですが、中心部にはアジア最大のスラムといわれる「ダラビ」が存在します。経済活動と交通の利便性が良い立地であることから、政府は再開発計画を進めていますが、スラムでありながら住民は陶器・革・繊維製品などの製造業や自営業に従事しており、経済活動が活発に行われています。そのため、住民はストライキを起こすなどして、再開発に対して反対の姿勢を示しています。

一方で政府は、過密な人口に伴う交通渋滞などで生じる経済損失を問題視し、ムンバイの対岸に計画都市としてナビムンバイ市を開発してきました。この2つの都市をつなぐ国内最長の海上道路が2018年に着工し、2024年1月に開通しました。ナビムンバイなどへのアクセスが飛躍的によくなることから、ムンバイ都市圏は今後のさらなる発展を期待できるでしょう。

主要産業

インド西部は、多岐にわたる主要産業が存在し、地域経済の成長を牽引しています。これらの産業はインド経済の中心の1つとなっており、国内外から注目を集めています。

娯楽

インドでは年間数百本の映画が製作されており、インド映画製作の中心地であるムンバイの旧称「ボンベイ」とアメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」を掛け合わせた造語「ボリウッド」として世界的に有名です。国内外で広く人気を集め、インド文化への深い理解と受容に貢献しています。

さらに、インターネット利用の増加と通信革命により、アニメーション市場も大きく成長をしています。2022年には、インド情報省がアニメ産業振興のためのアニメーション・ビジュアルエフェクト・ゲーム・コミックス(AVGC)プロモーションタスクフォースを新たに設立しています。AVGC産業には18万5千人が従事しており、スタジオは全国にありますが、群を抜いて数が多いのはマハラーシュトラ州です。専門学校も多く、人材育成にも注力していることから、今後も雇用の創出、技術の発展が期待できる産業とされています。

金融

インド西部の金融産業は、特にムンバイを中心に発展しています。インド準備銀行(RBI)の本店や証券取引所・証券取引委員会、各銀行の本店、各国の商工会議所が立地し、国内外の大手金融機関が集積しており、アジアの主要な金融センターとしての役割を果たしています。

また、グジャラート州ではインド初となるスマートシティ「グジャラート国際金融テックシティー(通称:GIFTシティー)」が開発されています。2022年には、国際金融サービスセンター内にIIBXを設置することにより、これまでインド準備銀行が認定した銀行や法人を通じてのみ輸入可能であった金を、中小企業の貴金属商がIIBXを通じて直接金の取引に参入することができるようになりました。それにより、地金の金融化を加速させ、取引における価格決定の効率化や品質保証の向上が期待されています。

成長を続ける西部の金融産業は、地域経済の成長を牽引し、国際市場でのインドの地位を高める上で中核を担っています。

インド西部に進出する日系企業

インド西部に進出している日系企業は多く、特にインド最大の商業・工業州であるマハーラーシュトラ州の拠点数は群を抜いています。ムンバイを中心に、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行が進出しており、預金・貸付・外為・保証などのフルバンキングサービスを提供しています。

マハーラーシュトラ州に位置するプネには、スパ日本企業専用工業団地という、日印両政府が推進する「日本工業団地」の1つがあり、製造拠点が集積しています。この工業団地へ進出しているDIC(旧:大日本インキ化学工業)のインド子会社アイディール・ケミスト・プラストは、2024年プネ近郊で新工場の稼働を明らかにしており、さらなる市場拡大が見込まれます。

グジャラート州では日系企業が増加し続けており、スズキやホンダを中心とした日系自動車メーカーや、ユニ・チャームなどの日用品メーカーが進出しています。スズキは、新工場建設の他に生産ラインの増設、スズキ初となるバッテリー式電気自動車(BEV)の生産をGJ州で開始し、新モデルを日本、欧州に輸出することを発表しており、今後もインド市場とともに成長することが期待できます。

まとめ

インド西部は、急速な経済成長と幅広い産業構造により、ビジネスチャンスが集まり続けています。マハーラーシュトラ州とグジャラート州地域は、特に日系企業にとって重要な市場となりつつあり、金融、自動車製造、テクノロジー分野での進出が目立ちます。成長を続ける経済を背景に、西部インドは今後もアジアの重要なビジネスハブとしての役割を果たすでしょう。インド西部に進出する際は、地域の特性を深く理解し、ニーズに応じたアプローチを取り入れることで、大きな成果をもたらすことができるでしょう。

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